暴力事件さえ起きなければ暴言も罵倒も盤外戦術も全然OKな健全競技、ストライドのアニメ六話目。
額に『嫌な奴らで噛ませ犬』と描かれた北海道の狂犬共をボッコボッコにして、EOS本戦への切符を手に入れる話でした。
門脇を生け贄に捧げてチームワークを手に入れるような流れでしたが、心が繋がっているのは門脇に直接子音がある久我パイセンと小日向くんだけのような気もする。

今回の敵キャラ一条館は、まぁ分かりやすいダーティーチームでして、三橋の盤外戦術でブレた結果門脇が怪我した第4話とか、部活がばらばらになった過去と似た状況を用意することで、それを克服する強さを書くための壁。
なんだけど、ダーティであることに理由がなく、「汚い手を使うために汚くなっている』トートロジーを背負ったチームで、正直魅力は薄い。
ぶっ飛ばされる敵役に厚みは必要ないってことなんだろうけども、エース姫宮くんが外見・性格・競技態度ともに良いキャラだっただけに、勿体無い感じがする。
まぁこいつらの描写増やして、必要な表現する尺がなくなるよりは良いか……。

キツネ目眼鏡のリレイショナーは無様だったが、ぶっ飛ばして気持ちがいい無様さってわけでもなく。
カタルシスはストレスを与えることで生まれるわけで、ストライドというリレー競技に必要な物を放置して嫌味に走るリレイショナー(このアニメ、そういう奴妙に多いが)を負かしても、あんま楽しくはなかった。
リレー競技である以上、どういう形であれ信頼感や絆があったほうが強いに決まっていて、それを優先度付けて後ろに置くわけではなく、最初から度外視して空気も作ろうとしない相手は、まぁ雑魚でしょうよ。

『方南が勝てば、相手がどうであれ無条件で楽しい!』ってほどには、僕彼らに思いいれていないわけで。
そういう意味でも、雑音を排除して拮抗した実力勝負を見せた姫宮くんの好感度が高いわけだが、みんないい試合をする美味しい役は、別の高校に回すってことなのかなぁ。
個人的には、戯画化された悪役を用意してお話の段取りを消化するよりも、競り合い自体の粒を立てて細かい見せ場をストライドに埋め込んでいってくれたほうが、よりお話にノレる。
ストライドの魅力という意味では、トリックを多用してただ突っ走るだけじゃない絵面を作ってくれる小日向が、一番見てて面白いな。


そして一条館を壁にして確認された方南の絆……なんだけど、まず久我先輩は良かった。
門脇の真心をしっかり受け止め、小日向とのわだかりも走りの中で解消し、助っ人キャラとしてはベストな動きをしていたと思う。
何かというと『風』に絡めたロールプレイを展開するのも、ナチュラルに中二病っぽくて好き。

そう、門脇周りの描写は良い。
しかしそれは同時に、門脇の人の良さ、物語全体への都合の良さを思い知らされることでもあって、彼が適切に良いトスを上げるたびに『そんなに周り見なくていいんだよ?』と言いたくなってしまう。
僕は物語に必要な都合の良さを、一人のキャラクターに背負わせる展開、『天使』がいすぎるお話は、あんまり好きではない。
『天使』にならざるをえないキャラクターが、僕の好きなやつだとなおさらだ。
脇役に入れこんだ門外漢の寝言なんだけどね。

個人的なキモい思い入れ十割ってのを理解した上であえて暴論ふるけど、やっぱこの話で一番熱を感じるのは門脇で。
何がどうなってもストライドが好きで、ボロボロになっても仲間のために尽くすという青春の速度は、確実に彼が一番でている。
その熱を受取る形で久我パイセンや小日向くん、久我先輩経由でヒースや部活の他メンバーも温まってきている感じはある。
しかしその環の中に、主人公として配置された八神がいないのは、個人的には勿体無い。

この切断された感じは桜井にも言えて、彼女は門脇(またかよ!)の助けをかりつつ基本独力でキツネ目の寝言を断ち切り、仲間を信じる強さを手に入れた。
この成長のために印象的なエピソードの一つでも、他のキャラクターと共有できていれば良い展開だと思うんだが、具体的で重量感のある個人単位の物語を、あんまりこのアニメは準備しない。
過程を見える形・届く形で描くことなく結果だけを出されても、そこに共感はない気がする。

今回も八神はブラコン拗らせて調子落としていたが、未だ部員からそこに突っ込む話はない。
一事が万事そんな感じで、尺をじっくり使った地道なドラマを飛ばす『軽さ』が、青春というテーマと凄く良くない反応を起こして、物語の大事な部分が僕の上を通過している感じがある。
キツイ言い方をするが、今回絆で勝利したと描かれたわけだけど、門脇周辺以外の描写にその説得力があったとは、僕は思わない。
もっとお互い話し、お互い曝け出し、お互い認め合うシーンの量が、分かりやすく提示されて良いんじゃないかと感じている。

しかし何を描き、何を描かないかってのはアニメの設計図段階から決めなければいけない指針であり、今後も『軽さ』というこのアニメの強みでもあり弱みでもある部分は、けして消えないと思う。
それならそれで、『軽い』ながらも説得力のある描写-例えば、今回の姫宮周辺の描写のような-をセンス良く挟み込み、セオリーを外し(というかこれが『今』の青春物語のセオリーなのだろうか? 勉強不足で解らない)ながらも芯を捉えた展開がほしいわけだ。
ここら辺は、特色である色彩設定のポップさ、現実感のなさが(僕にとっては)悪い方向に働いている部分なのかもしれない。
俺向いてないのかなぁ、このアニメ見るの。